Q.
建物賃借人が賃貸借期間の満了に伴い建物から退去したところ、室内に建物賃借人の備品が残置されていた場合、建物賃借人の明渡義務が履行されていないものとして、建物賃貸人は、建物賃借人に対して賃料相当額の損害金の支払いを請求することができますか?
A.
建物の退去時に建物賃借人が建物賃貸人に対して鍵を返却していた場合には、たとえ室内に建物賃借人の備品が残置されていても、建物の占有が建物賃借人から建物賃貸人へ移転し、明渡義務が履行されていることになるため、建物賃貸人は、建物賃借人に対して賃料相当額の損害金の支払いを請求することができません。
反対に、建物賃借人が建物賃貸人に対して鍵を返却していない場合には、建物の占有が建物賃借人から建物賃貸人へ移転しておらず、明渡義務が履行されていないことになるため、建物賃貸人は、建物賃借人に対して賃料相当額の損害金の支払いを請求することができます。
なお、建物賃借人が室内に備品を残置している点については、原状回復義務における建物賃借人の債務不履行の問題として処理されます。